「天才」を演じさせたら右に出る者はいない――とも称される類い稀な存在感で、今や世界的スターへと大躍進を遂げた注目の英国男優、ベネディクト・カンバーバッチ。ブレイクのきっかけとなった人気ドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』(2010年~)では、「高機能社会不適合者」を自称する天才コンサルタント探偵、現代のシャーロック・ホームズ。世界中から絶賛されたドラマ『ベネディクト・カンバーバッチ ホーキング』(2004年)では、難病と闘う車椅子の天才物理学者、スティーヴン・ホーキング博士。そして初のアカデミー賞主演男優賞にノミネートした映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014年)では、歴史に翻弄された不遇の天才数学者、アラン・チューリング。そんな数々の個性的な「天才」たちを演じてきた彼が、真逆とも言えるキャラクターに挑んだのが、英国BBCと米国HBOが共同製作したドラマ『パレーズ・エンド』(2012年)です。
このドラマで彼が演じるのは、「超」が付くほど保守的で生真面目な貴族の男クリストファー・ティージェンス。20世紀初頭、第一次世界大戦前後の英国を舞台に、美しく自由奔放な妻と若く溌剌とした女性運動家との間で宿命の三角関係を織り成します。このように強烈な個性もなければ「天才」でもない、ごく平凡な男クリストファーですが、実はカンバーバッチの魅力を余すところなく堪能できるキャラクターなのです。
Part1. クールな無表情と無邪気な笑顔のギャップ
カンバーバッチが決して「正統派イケメン」でないことは、ファンも本人も認めるところ。本人が「魅力的なカワウソ」と評した個性的な顔立ちは、無表情だと一見クールな印象を与えます(もちろん、素顔はとてもチャーミングですが)。そしてその表情が、堅物で感情をあまり表に出さないクリストファーにぴったりなのです。唇をグッと噛み締め、あらゆる感情を押し殺した無表情。そんな中、ふとした瞬間に垣間見せる、口角をキュッと持ち上げ、目尻に皺を寄せた無邪気な笑顔。このギャップが、ファンを虜にするのでしょう。
Part2. 詰襟が様になる
カンバーバッチは自らのルックスを「長い首と長い顔、どちらも長いから奇妙」と評していますが、それがクリストファーのようにクラシカルな衣装を身に纏うときは、逆に大きな強みとなるのです。長い首と高い身長を真っ直ぐ伸ばして、詰襟の正装や軍服に身を包んだ姿は、驚くほど様になっています。特に詰襟の燕尾服にシルクハット、傘を片手に背筋を伸ばして庭園を闊歩する姿は、まるで1枚の絵画の如く画になっているので必見です。
Part3. 魅惑のバリトン・ボイス
カンバーバッチ最大の魅力といえば、やはりセクシーな低音ボイスでしょう。彼のルックスにはピンと来なくても、「声」で魅了されたというファンも多いはず。また、映画『ホビット』3部作(2012年~)で声優(竜のスマウグ役)として起用されたことからも、彼の「声」がそれだけ魅力的であると窺えます。スマートな外見からは意外なほど、低く渋みのあるバリトン・ボイス。厳格なクリストファーのキャラクターにもぴったりはまっています。
『パレーズ・エンド』のクリストファーは、カンバーバッチが今まで演じてきたシャーロック、ホーキング博士、アラン・チューリングなどに比べれば、ごく平凡なキャラクターであると言えるでしょう。しかしだからこそ、彼の俳優としての魅力を存分に堪能することができるのです。是非、俳優カンバーバッチの新たな一面をお楽しみください。
『パレーズ・エンド』放送スケジュール(全3話)
イマジカBSにてBS・CS初放送!(※プレミアch除く)
5月 1日(金)14:30 『パレーズ・エンド #1』先行放送
5月22日(金)12:30 『パレーズ・エンド #1』
5月29日(金)12:30 『パレーズ・エンド #2』
6月 5日(金)12:30 『パレーズ・エンド #3(終)』