『ノッティングヒルの恋人』のヒュー・グラントに恋をする

愛すべき“ダメ男俳優”の魅力

20世紀初頭のイギリス・ケンブリッジ大学を舞台に、美しき青年たちの禁じられた同性愛を耽美的な世界観で描き、青春ロマンの伝説的名作として名高い映画『モーリス』(1987年)。この映画で主人公モーリスを翻弄する高潔な青年クライヴに扮し、当時の女性たちを熱狂させたのが、元祖英国貴公子ヒュー・グラントです。

零れ落ちそうな垂れ目と、柔らかい猫毛の髪。正統派の甘いマスクで世の女性たちを虜にした彼はその後も、『フォー・ウェディング』(1994年)や『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズ(2001年~)に『ラブ・アクチュアリー』(2003年)など次々とヒットを連発、ロマンティック・コメディには欠かせない存在となります。しかも彼は、名門オックスフォード大学出身のエリートでハンサムな二枚目というハイスペックを持ちながら、なぜか「“ダメ男”を演じさせたら世界一」との呼び声も高いほど、親しみやすく憎めない三枚目キャラクターで人気を集めてきました。

そんな彼の愛すべき“ダメ男”キャラを確立させた代表作が、映画『ノッティングヒルの恋人』(1999年)。イギリス・ロンドン西部のカラフルで美しい街ノッティング・ヒルを舞台に、有名ハリウッド女優と平凡で冴えない書店主との恋の行方をコミカルに描き、あの『ローマの休日』(1953年)の再来とも呼ばれた傑作ラブ・ストーリーです。この映画で彼が演じた書店主ウィリアムは、不器用でヘタレながらも誠実で裏表がなく、誰からも愛される、誰もが応援したくなるキャラクター。この映画ではそんなウィリアムを好演した、二枚目俳優ヒュー・グラントの愛すべき“ダメ男俳優”っぷりをたっぷりと堪能することができます。

Part1. エリートでハンサム、なのに“ダメ男”が似合う

名門オックスフォード大学出身の二枚目俳優という、誰もが羨むハイスペックの持ち主であるヒュー・グラント。にもかかわらず彼が愛すべき“ダメ男俳優”の地位を確立できたのは、彼の思い切ったコメディ演技のおかげでしょう。これでもかと目尻を下げた情けない困り顔に、目元も口元もしわくちゃにした子どものような笑顔。大仰でコミカルな表情も何のてらいもなく見せてくれる彼だからこそ、エリートでハンサムなのにイヤミのない三枚目キャラクターが似合うのです。

Part2. 飾り気のない自然体の魅力

スーツでビシッと決めるとまさに“貴公子”の風格が漂うヒュー・グラントですが、『ノッティングヒルの恋人』ではボサボサの髪にヨレヨレのTシャツで寛いだり、腰にタオル一枚だけ巻いて部屋中を駆け回ったりなど飾り気のない姿も披露し、どこにでもいそうなありふれた中年男性を好演しました。気取らない自然体をさらりと演じられるのも、“ダメ男俳優”たるヒュー・グラントの大きな魅力といえるでしょう。

Part3. 美しいブリティッシュ・イングリッシュ

『ノッティングヒルの恋人』では、ヒロインを演じたジュリア・ロバーツのアメリカ英語とヒュー・グラントのイギリス英語による掛け合いも見どころです。英語が得意でなくとも分かる、ヒュー・グラントの美しいブリティッシュ・イングリッシュの発音には思わず惚れ惚れ。このような隠しきれない気品があるからこそ、彼が演じる“ダメ男”は不器用でもヘタレでも、憎めない愛すべきキャラクターになり得るのではないでしょうか。

かつて、『モーリス』でヒュー・グラントのファンになった女性は多いでしょう。しかしそれと同じくらい、『ノッティングヒルの恋人』のヒュー・グラントに恋をした女性も多いはず。エリートでハンサムな二枚目俳優でありながら、親しみやすく憎めない三枚目キャラクターをさらりと演じてのける、愛すべき“ダメ男俳優” ヒュー・グラント。「“ダメ男”を演じさせたら世界一」との呼び声も高く、今やロマンティック・コメディには欠かせない存在となった彼の、甘い魅力に酔いしれましょう。

ヒュー・グラント出演作 放送スケジュール

8月放送

『ノッティングヒルの恋人』放送スケジュール
8月15日(土) 21:00~23:15
8月16日(日) 13:30~15:45
8月28日(金) 16:30~18:45

『赤い航路』放送スケジュール
8月 7日(金) 16:30~19:00
8月 9日(日) 深夜03:30~06:00
8月19日(水) 5:00~7:30

9月放送

『フォー・ウェディング』
『アバウト・ア・ボーイ』
『ブリジット・ジョーンズの日記』
『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』

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